それでも


先日の感想は「最悪」から始まった。
身体が痛かったけれど、それよりもっと、心が痛かった。


それでも。


今日も僕は、後藤真希のことを書きたい。
「シークレットライブの後藤真希」について。
これをもって後藤真希シークレットライブに関する僕のレポートは1つになり、完成に至る。


始めからそういう予定でした。
最悪の部分に隠れた、最高だってあったから。


今日は「最高」から始めよう。
書く順序はやはり間違っていない。これで正しい。
より言いたいことが、先に来た。ただそれだけのこと。


先日のレポートだけではワンサイドなのです。
確かに存在するもうひとつの面と両方書いて、初めて「レポート」と言える気がする。
そして、それが『共犯者。』というサイトだと思うし、僕という人間だと思う。




後藤真希さんのことが大好きです。


LOVE。BELIEVE IT!





会場に入るとT字になった舞台がありました。短い花道のように中央が丸く突出した形。
高さは1階席に立っている人の目線の位置に舞台床があるくらいの高さで、ホールでいつも見下ろしている僕にとっては新鮮な視界でありました。


舞台上は装置の類が一切ない素舞台。奥に赤いドレープの幕が下がっているだけ。
これはごっちんに最適である予感がしました。彼女にはダンスという動のスキルがあるので、これでもじゅうぶんに勝負できるはず、むしろ際立つかもしれない、そんな予感を感じました。


思えばこれ、評判のよかった『ガラスのパンプス』のシングルVにも同じことが言えるんですよね。あのVのセットを含めた世界観とか演出はものごっついシンプルなのに、ごっちんの肉体力(ダンス力)がそれを補って余りある状態。自分の身ひとつで、たとえ他に何もなくても切り込める。
これはごっちんパフォーマンスの信頼性がいかに高いかという証拠にもなりますね。


開演前の客入れ時間には、左手のブースのDJがいろいろな曲をプレイしてました。
全部洋楽で知らない曲も多かったですが、こういう客入れ時間もいいと思いました。会場の中に入ってから立ったまま70分くらいですから、会場の雰囲気を感じつつ耳を傾けることが多かった。客入れ時間も公演の一部として捉え、新しい試みをしている感じが嬉しかったです。


DJプレイのあと、ごっちんの歴代の曲をリミックスしたものが流れて一気にテンションが高まりました。
いよいよ後藤真希登場の予感。
照明が落ち、ステージに立つ、ごっちん



1.LOVE。BELIEVE IT!
いきなりこの曲!歌い始めにかぶっていた帽子をパッと投げるごっちんがものすごいクール。歌の方は、押し寄せる人波+始めてあんな近くでごっちんを見たパニックでよく憶えてませんが、一気に突き抜けるような曲ではなくこの曲を頭に持ってきたというのは、開演前から溜まったテンションをさらに熟成させる効果があると感じました。


この曲、ノリはいいけど意外と「じっくり型」の楽曲だと僕は思うんですよね。だから聴いていた時は、心の中で「うおお!」となりながらも外には発散しきれないような熱のこもりがありました。



2.溢れちゃう…BE IN LOVE
アルバムの方ではなく、オリジナルバージョンのアレンジだったと記憶してます。あのCDをリリースした時はまだ声も幼かったけれど、今このときの声はまさにR&B調の曲を歌うにふさわしい。激しいダンスに反して、ものすごい安定感と安心感がありました。実際、低音とかよく声が出るようになったし、高音も鋭く太い。声域も声質もずいぶん進化してました。



3.エキゾなDISCO
ステッキを持って踊るダンス。『ハロ☆プロ パーティ〜!2006』ではマイクスタンドをダンスポールに見立てて絡んでいましたが、今回は新演出。男性ダンサーをステッキの先で翻弄する女王様然としたごっちんがあまりにも挑発的なセクシー。この曲独特のウィスパーボイスも相まって、ゾクゾクものです。
他の曲もそうだけどこの曲は特に、いろんなタイプの振付やパフォーマンスの世界観が楽しめる曲だなぁと感心しました。歌い方でも相当印象変わるし。ツアー毎で変えてやってみるのも面白いかもしれません。



4.LOVE LIKE CRAZY
明かりがつくと男性ダンサーが立っていて、ダンスを披露する。詳しくはわからないけれど、この男性ダンサーはブレイクダンスをベースにしている人たちだと思います。個人個人で動くと、またジャズダンスとは違った動き。アニメーションやポッピングなどの動きが見られました。


そのあとどの曲が来るかと思っていたら、この曲!個人的にいつか是非ライブで聴きたかった1曲。コンサート『トライアングルエナジー』の後浦なつみで歌うバージョンもいいけれど、ごっちんソロバージョンはあまりにクール過ぎました!もともと後浦なつみの中では、ごっちんが一番「この曲ぽい」印象があったので違和感なく聴けました。


歌というよりサビ以外はラップ調なので「変わり種」ですが、今後のツアーのセットリストに組み込んでも違和感ない感じ。いや、それどころか次はこういう感じの新曲が来るっていうのも全然アリだと思いました。



5.LIKE A GAME
後藤真希のライブでは欠かしたことの無い定番曲をシークレットライブでも。こういう「変わらないスタンスがある」ということも大事かもしれません。ライブと共に進化してきたこの曲。今までで最高のレベルだと思いました。昨年度の秋ツアー「はたち」でもその成長に驚きましたが、まだ成長の余地はあったようです。
声の太さ、疾走感、その間に見える感情表現力。最早「別の曲?」と思うほどCDとはかけ離れたレベルに達しています(CDはCDで初々しくて大好きなのですが)。


間奏あたりで「JUMP!JUMP!JUMP!」と観客を煽るごっちん
カッコよかったですが、そんなのできませんでした。物理的に不可能。もう少し広い場所でやる時にこの煽りをすれば最高にカッコよかったかもしれません。



6.ガラスのパンプス
これを歌わなければ何のシークレットライブか!という一曲。みんなこのCDを買ってここに来ているわけですもん。
この曲の振り付けだけオリジナルバージョンでしたが、あいかわらず激しいダンス。ダンス!ダンス!!ダンス!!!数々の音楽番組やPVで見てきたあの圧倒的パフォーマンスが目の前で繰り広げられている・・・その現実がにわかに信じることが出来ないくらい、珠玉のパフォーマンスでした。


この曲のパフォーマンスを初めてライブで見て、やはり後藤真希のダンスレベルはかなりハイレベルなことがわかりました。今回バックで踊っているダンサーはダンスのプロですが、それに呑まれることなく、比較してもあまり遜色が無いというのはすごい。しかも、そのダンスクオリティに加えてあの安定したボーカル。
ボーカリスト、ダンサー飛び越え、ごっちんナチュラルボーン「パフォーマー」なのだと納得せずにはいられない光景でした。



7.LOVE缶コーヒー
アンコール明けの1曲目。
この曲をこんなに早くライブで聴けるとは思っていなかったので感激しました。
この『ガラスのパンプス』のカップリング曲にはA面のような派手さはありませんが、曲調や世界観はこっちの方が僕の好みかもしれません。


振付がどんなだったかはほとんど憶えていませんが、リズミカルにただししっかりと感情を丁寧に込めて歌い上げるごっちんの声。それだけはすごい耳に残りました。ごっちんのアップテンポな曲ってノリと勢いだと思われがちだけど、それがありつつもしっかりと「表現」できるのが彼女の強みだと思う。
これからのコンサートに組み込んでほしい1曲になりました。



8.ガラスのパンプス
アンコール2曲目。本当に本当に最後の1曲。
同じ曲をもう1回、というのはビックリしたけれど、あまりの熱気に押されて急遽歌うことになったのかもしれません。でも、これはこれでいい。
再びの歌を聴きながら「このイベントはこの曲から始まったんだよな・・・・」と感慨深い気持ちになりました。


ガラスのパンプス』は長らく不安定だったごっちんの方向性をビシッと決めた1曲だったように思える。もちろん、いろいろな路線の歌を歌って右や左に大きく振ってきたことはごっちんにとって大きな武器になっているし、僕もそれで多くのものをもらいました。ただ一方で「これぞ後藤真希」みたいな曲がなかなかない気もしていました。「後藤真希」というイメージを勝手に創り上げるのはつまらないし危険なんだけど、それでもたまには「らしい」曲が欲しかったのも事実。
いずれにしろ、今回この『ガラスのパンプス』という曲を踏まえたことは今後のごっちんを大きく飛翔させるんじゃないかという予感を感じずにはいられません。


舞台上には、あいかわらずものすごい切れのあるダンス、そして安定感がありつつも鋭いボーカル。
そこにずっと存在していたはずの「何か」が、僕にはようやく見えた気がする。




そして秋のコンサートツアーが決定しました。
今回をジャンプ台にして大きく踏み込んだごっちんは、どこへ向かって飛ぶのか?
後藤真希は、まだまだ止まらない。