ふー!楽しかった!

行ってきました。藤本美貴さんのディナーショーに。
先ほど帰ってまいりました。
レポートなどこれから書き上げます。


最近「書きます」と言ったまま書きかけのアルバムレビューや「恋愛進行形」のテキストを先に仕上げるのが筋ってものでしょうが(本当にすいません)、今日ばかりはこっちを書かないとブーイングもんでしょう。誰が誰にブーイングなのかって、僕が僕にです(笑)


とりあえず現在、帰宅直後の感想としては「本当に楽しかった」「また聴きたい」「大好き」ですかね。あと「緊張した」も、かな(笑)


本当に素晴らしい時間でした。

藤本美貴カジュアルディナーショー(ディナー編)

昨夜は緊張のあまり眠れなかった、なんてことは全くなく快眠(笑)疲れてるんだべ。
そして今日は仕事もオフを取って、最高のコンディションでディナーショー当日を迎えたわけですが、日中の予定がおして開演時間に遅刻しそうになりました。


慌てて恵比寿駅に向かい、着いたら開演7分前。これはヤバイ!とかなり焦りました。最初はディナータイムだろうから歌は聴き逃すことはないにしても、遅刻はかなり無粋な感じがしましてね。理由はどうあれ、カッコ悪すぎ。


パニクった僕は駅を出た瞬間に前後不覚に陥り、進むべき方角がわからなくなりました。ピンチ!そうこうしているうちに開演5分前。カッコ悪い僕が現実のものとなってくる。万事に窮した僕はおもむろに片手を上げて「タクシー!」。
間に合うためにはこれしかなかったんです(笑)


そのちょっとカッコ悪めのしかし好判断によって、開演ギリギリに会場入り。僕の時計では数秒前みたいな。確実に最後の客でした(笑)


入ってすぐ、チェック。サクッと済んだので良かったのですが、問題はその後でした。
「げ!お客さんのほとんどがスーツじゃん!!」
カジュアルな格好をしている方はほとんどおられませんでした。しかも黒のスーツの方が圧倒的に多い。80人近いスーツ姿の男性が狭い会場内で一斉に食事している光景は圧巻でした。後から入ったから余計にビックリしました。


じゃあ自分の出で立ちはと言うと、かなりカジュアル。ただのキレイ目な普段着でした!先日にあんなに悩んだにもかかわらず「やっぱりスーツは嫌だ。それに気軽に楽しみたいから文字通り“カジュアル”で行くぜ!」と意気込む。


まず、ジーンズ。迷いましたが「今日日のフレンチレストランは大丈夫だろ、なんてったってカジュアルだもん!」と独自の見解により着用決定。後藤真希さんも大好きな『DIESEL』のジーンズを。
あとは古着だけどキレイ目なシャツと黒のジャケット。靴は最近おろしたての赤茶色のレザースニーカー。時計はこれまた『DIESEL』のお気に入り。


個人的にはカンペキな服装でした。「このまま気軽に、ディナーショー終わりの藤本さんとデートできるぜ?」っていうくらいのキレイ目カジュアル。
ただ、それは僕の考え方で(笑)皆さんはスーツ。ジーンズを履いている人なんていません。しかもブルージーンズだぜ?会場に入った瞬間凍りました。
「俺めっちゃ浮いとるやん・・・。」


そんなこんなで席に着く。舞台からは少し離れていましたが、この近さは僕にとって異常事態。今までコンサートでもずっと最後列付近だったからさ。全然遠く感じない。


同席の方々は当然ながらもう席に着いておられました。ギリギリになったことへの罪悪感で周囲の方にヘコヘコしながら着席すると、すぐにパンが出てくる。そうですよね、そりゃそうだわ(笑)


参加前に相当気にかかっていた「テーブルでの会話」でしたが、遅刻スレスレのドタバタ+これから始まる緊張感で僕は軽い躁状態になっていまして(笑)けっこう自分から会話に加わってました。人見知りストにしては珍しい。同席の方々もいい人たちでした。


料理は
□アスパラと生ハムのサラダ
□鰆のムニエル カレー風味
□桜のシフォンケーキ
の3品。好みで注文の1ドリンクは、メインにあわせて白ワインを。
味は・・・普通?別にマズイって程でもないし、すごいおいしいって程でもないですかね。ただ、同じもの食べている人相手に「おいしくない」と言う不躾なマネだけは絶対にイヤ。


食べ始めると、すぐに質問が。
「もうずっと、ミキティが好きなんですか?」
ここでちょっと言葉がしどろもどろに。もちろん答えは即「ハイ、そうですね!」と言いましたが、質問のニュアンスが「ミキティ推しですか?」的に感じられて、こう付け足してしまいました。「でもみんな好きなんですよねー。」


すると「それは、ハローのメンバーが満遍なくですか?」という相手の方の質問に、うーんそれも語弊があるなぁと思いつつ「まぁそうなんですけど、うーん、なんかよくわからないですね、ちょっと・・」と煮え切らない答えをしてしまう僕。
簡単に言えば「誰が好きでも、ミキティ好きなんだからいいじゃん」ということなんですけど、そう簡単に伝えられませんよね(笑)わかってもらえない。


例えるなら、ミキティミキティごっちんごっちんまっつーまっつー、なっちはなっち、梨華ちゃん梨華ちゃんであるように、僕もそれぞれのことがそれぞれで大好きであり、そこに差や順番なんてないのであります。それなのに僕ら人間は、どうしてこうも人は比べたがる?だから「推し」という言葉が嫌いなんですね、僕。


でもたぶん、僕がその手の質問に神経過敏になっていただけですけどね。
質問された同席の方は全然そういうつもりはないと思います。しかしながら、こういう時にみんな好きですって言いにくいなという現実問題はありました(笑)
他に何かいい言い方ないかな?


そうこうしているうちに1時間のディナータイムは終了。ついにライブが開演です。
僕の席の左側の衝立の向こうが出演者の通り道になっていて、藤本さんの声が聴こえて来る。特徴があるからすぐわかりました。


「よろしくお願いします」
「行くよ!」


聴き取れたのはこの二言です。
ごく普通のさりげない言葉ですが、緊張と高揚が伝わってくる言葉。


1人の女の子の不安と期待が入り交じった声。
しかしそれは、1人の表現者としての自信も感じさせる颯爽とした声でもありました。



そして・・・・

藤本美貴カジュアルディナーショー −歌編−

舞台上に藤本美貴その人が立っていました。
深い深い緑色のドレス。
すぐに1曲目の前奏が始まって、マイクを持った手がスッとあがる。その彼女の立ち振る舞いに吸い込まれそうになる。
こうして幸せな時間が流れ出したのでありました。


1.ロマンティック浮かれモード
落ち着いた歌い出し。そこから弾けるような明るさを持つ曲。いまや紛れもない代表曲である『ロマンティック浮かれモード』が1曲目を担います。


このレストランという狭い空間。着席して聴くというスタイル。ディナーショーという環境から来るイメージで、落ち着いた調子の楽曲が多く歌われるという先入観が強かったので、いきなり良い裏切られ方をしました。


そして生演奏が良い!当たり前だけど良い!!
生演奏のアレンジによって原曲の持つイメージより少し変化して、より身近な印象になりました。なんか大きいホールで盛り上がるアゲアゲな曲ではなく、ライブハウスで品よく高揚する感じ。


前奏後、藤本さんが自ら手拍子を打ち始める。その姿がまたカッコいいんです。別に特に客を煽るわけでもなく、ただリズムに乗って叩く。自然と客も叩き始めます。
変な動きをする客も回る客もいない。これでいい。これがいい。心と熱のこもった手拍子だけでじゅうぶんなんです。


藤本美貴の歌には飾りは要らない」
初めて聴く彼女の生の歌声に、そう思いました。


2.Let’s Do 大発見!
息もつかせぬ勢いで、2曲目も盛り上がる一曲。この曲はデビューした彼女が人前で披露した最初の曲でしたか。そんな背景を感じつつも、それを忘れさせるほどの今の彼女の歌声に熱中させられる。


僕は今までライブとかで手を叩いたりしたことなかったんですね、実は。いつも席が遠い(最後列から数えて5列以内くらい)っていうのもあるし、1人で参加していることが多いから「恥ずかしいな」っていう気持ちもあったんです。


でも勝手に叩いていました。曲に身を任せ、彼女の歌声に耳を傾けながら。恥ずかしいとかなかったです。歌っている本人と感覚がシンクロしているかのように、僕も音に乗ってました。


曲のラストのフェイク。熱が溢れる声。「Thank you!」。その瞬間、弾ける拍手。今、自分がここにいることを幸せに思った。


準備は万端、場の空気は完全に温まっていました。僕も、他のお客さんも、そしてたぶん藤本さん本人も、エンジンは既にフルスロットル。


3.シャイニング 愛しき貴方
僕が藤本美貴のディナーショーに行くならば是非聴きたかった曲のうちの1曲がこの曲。彼女の声が大好きな曲だし、ダンパ(ダンスパーティー)っぽいオールディーズな曲調もディナーショー向きだとずっと思っていました。


単調ともいえるリズム、盛り上がりはボーカルのライン。夕暮れ時に、でライティングが夕焼け空の色に変わり、歌っている彼女の姿を赤く照らし出す。歌っている歌詞の情景が容易に想像できました。


歌の中のヒロインは歌っている本人。歌声から伝わってくる感情の流れにそんな印象を受けました。
「すんごくねえ 大好きよ 好きよ」伸びやかな声。歌を「聴かせて」いるんですね。歌そのものが身体に入ってくる感覚を覚え始めました。


I believe that she is shining most in this world.


4.幼なじみ
MCを挟み、『幼なじみ』。これ、一番聴きたかったんです。キーボードのイントロを聴くだけで心がジンと震える。


「何度も聞くから・・・」
このあたりから「歌を聴く」感覚に支配され始めました。歌の世界に意識が集中しだして、歌声に身を任せるようになりました。余計な思考や疑いは全くなく、ただこの「幼なじみ」の2人のストーリーを頭に思い描く。


かわいらしい幼なじみの話。その2人の困惑しながらも幸せな瞬間を愛しむかのような表情で歌う壇上の彼女。気持ち悪いかもしれないけれど、僕も同じ表情してた。と思う。


5.声
生演奏のアレンジなので少々わかり辛かったのですが、イントロを聴いて「まさか!」とびっくりしました。まさかモーニング娘。のアルバム『愛の第6感』収録の『声』を生で、しかもソロで聴けるとは!


ソロで聴く彼女の声は一般的に、クセが強い声という印象だと思います。個性が強いと思われがち。しかし昔に比べ、ずっとずっと柔らかくて優しい歌い方も出来るようになったと僕は思ってます。そしてそれは、この歌で大いに発揮されていました。もちろん原曲とは少し違う印象を抱きましたが、ごく自然に「恋をしている人なら誰でも抱く、ちょっぴり切ない気持ち」を感じることが出来ました。


「声が聴きたい、近くにいたい・・・」
彼女が実に繊細に、大事に歌い上げるラストのフェイクに、切なる想いが高まる。


6.雨
MCを挟みカヴァー曲2曲。最初は森高千里さんの『雨』。
僕はこの曲は全く知らなかったのですが、それだけに歌が身体の中に入ってくる入ってくる。初めて聴く歌だから「どんな歌なんだろう」という驚きと共に、すごーく集中して聴いていました。


そうやって聴いているうちに、ちょっと気分が塞ぐ。自分が失恋したときのことを思い出してちょっぴりセンチメンタルに(笑)「雨は冷たいけどぬれていたいの 思い出も涙も流すから」なんてそんなにドラマチックな別れ方はしたこと無いけれど、思いは同じだなぁ、なんて。


僕が「歌」を聴きながら回想していること、これ即ち、彼女と僕の間で「歌を伝えている・受け取っている」という関係性が成立していることになる。


7.PIECE OF MY WISH
2曲目は今井美樹さんの『PIECE OF MY WISH』を。美貴×美樹ですよ(笑)
この曲も僕が知らない一曲。でもすごくいい曲。聴いていてじんわりと勇気づけられる。
優しくも力強さを秘めた歌声に、背中をそっと押される感覚。


最近の僕は私生活がうまいこと行っていないので、染みました。


8.贈る言葉
MCを挟み、誰でも知っている海援隊の『贈る言葉』。
実は僕はこの歌と縁がなくてですね、ちゃんと聴いたことなかったんです。でもこの機会によってなんで歌い続けられているかわかったような気がしました。僕もいつかこうして人に言葉を贈る時が来るのだろうか。


「皆さんも歌ってください」という言葉と共に、歌いながら客席の方へ降りてくる藤本さん。呆けた顔の観客。中には正視に耐えない顔もあったでしょうが(笑)1人1人と丁寧に目を合わせる彼女。歌というツールを通して僕たちに言葉を贈る彼女うわわわわわ!!!なんかそんなんどーでもよくなってきた!近い近い!!飛ぶ!意識が飛ぶ!!


残念ながら座っている席は通路側ではなかったんですが。
語りかけるように僕の目をのぞき込みながら歌ったあの一瞬だけは、彼女は僕だけの彼女でした!!


9.恋ING
イントロの出だしでキーボードの方がミスをする。もう1回仕切り直しましたが、またミスる(笑)でも、それでもこの曲が何であるかわかってしまいました。


この『恋ING』、藤本さんの前のカジュアルディナーショーでも披露されていた曲で、その時からずっと聴きたくて、演目から外されないようにひそかに願っていました。それ以前では娘。のコンサートでも披露されていて、この曲を生で聴くというのはちょっとした僕の悲願でもありました。


もうね、イントロから甘酸っぱい!『幼なじみ』もそうですけど、ピアノの音のイントロで歌い出しを待つ時間って最高なのであります。ゾクゾクする。


「いつまでも二人でいたい パンが一つならわけわけね」
藤本さんがちょっとした振付をやります。まず2本指を立て、それから人差し指だけにしてワケワケね、と。初めて生で聴く歌でその振りも見るのは初めてなので、普段はどういう振りかわかりませんが、こういう場所でさりげなくやるには良い振りだと思いました。かわいらしいし、女の子の幸福感が溢れ出てました。


もともと聴きたかった1曲だったというのもありますが、言葉で語りかけるように幸せそうにこの歌を歌う藤本さんを見て、こちらも幸せになりました。


10.満月
終盤、ここでまた一発元気な曲『満月』。
藤本さんの力強い声は最高潮に達し、会場は総立ちになっていました。精神的に。


爆発的ともいえる藤本美貴の歌声の真骨頂を味わう。身体が勝手に高揚して手拍子を叩く。楽しい、最高に楽しい。ただその瞬間、「もうそろそろショーは終わりなんじゃないか」という寂しさが頭をよぎる。そしてそれを振り払うかのように、僕は心の中で彼女と一緒になって合唱していました。
「でっかい声で叫びたい!幸せのOH! YAH! OH! YAH!」


11.ボーイフレンド
MCで最後の1曲という悲しい知らせが。幸せはなかなか長く続かないものであります。だからこそ記憶の中で宝物となる。


届かない想いを歌った切ない歌。『ボーイフレンド』を聴いていた僕は、ショーが終わってしまう寂しさと共に自身の失恋体験を回想してしまいました。
「世界の誰より愛する自信があるのに」
叶わない恋、届かなかった想い。あの時は自分が世界でいちばん相手を好きだという自信がありました。報われないほど、より強く叫びたくなる。


歌を聴いて切なくなり、この時間が終わってしまうことに寂しさを募らせていく。
最後のフレーズが来て、彼女の歌声はここまで。あとは演奏のみ。もう終わってしまうんだ!終わらないで!!


でも。
これって、僕が全身全霊でこのショーを楽しんでいたという証拠に他ならない。
この寂しさ。切なさ。楽しさ。興奮。幸せ。
すべて彼女の歌から受け取ったものでした。


彼女が視界から消えていきます。
出来ることならずっと拍手をしていたい、そう思いながら送り出しました。


ここに来れて、良かった。歌が聴けて、嬉しかった。

AFTER THE SHOW

彼女が去り、彼女の姿が無くなった舞台で、バンドがもう1度『ボーイフレンド』のアウトロを奏でる。
ショーの終わり。

終わった後、僕は半ば放心状態だったようでした。
ポカンと口を開けてボーっとしていたようで、同席の方に「もう放心状態じゃないですか」と言われ我に返る始末。


まさに夢のような時間としか言いようの無い、楽しく、そして儚い時間でした。


気を取り直して開演前から配られていたアンケートを書き始めました。
アンケートを書くのにはとても時間がかかりました。お芝居とか観に行った時のアンケートもいつも時間がかかるんですよね。いきなり感想を求められても、パッと言葉に出来ないんです。

このサイトの更新もそうなんですが、自分の気持ちや考えを文章化するのって難しい。伝える・伝わる文章を書くのにいつも四苦八苦。いい言葉が生まれてくるまで書けないこともしばしば。


性格的にサクッと書くのが苦手なタイプなんですね(笑)
だから非常にカロリーを消費しながらアンケートを書きました。うーんうーん言いながら。


アンケートに書いた内容について少しだけ。
藤本美貴のディナーショーで歌って欲しい曲は?(カヴァーなど)」みたいなクエスチョンがありました。『大切』『銀色の永遠』。純粋に聴きたい曲を挙げてみました。いつか聴ける日を楽しみに。


カヴァーについては、僕の乏しい音楽知識を総動員し、それに僕なりに分析した藤本さんの声の印象と音域を照らし合わせた結果、Dreams Come Trueさんの『未来予想図Ⅱ』と書く。うーん、聴いてみたい!!


こうしてやたら時間がかかってしまったので、書き終わって立ち上がりトイレに行ってから列に並ぶと、僕は最後の客でした。
「最後に入って最後に出るのもいいかもな」そう思いました。
あとはこの日最後に会うファンは僕なので、もしかしたら印象に残るかもしれないとこざかしい思いが頭をよぎったのも事実です。なにせジーンズだし(笑)


中の様子を窺うと、1人入ってから次の人が入るまでの時間は短いことに気づきました。しかも会話は二言くらいしゃべれるかな?という感じ。思っていたより短い。


僕のひとつ前、先に入っていった女性のファンの方が出ていく様子がする。さぁ次は最
後、僕の出番!しかしカーテンは開かない。中で何かやっているようです。なんだかわからにけどつっかえているよう。女性ファンだから粘れてるんですかね?
ただ、僕にとってそのごく僅かの待ちがいけなかった。緊張感が一気に膨らむ。ぐあーどうしよう!


伝えるべきこと・伝えたいことを伝える。それしかない。今まで応援してきた思いをこの機会に伝えるか?いや、そんなものをたった一言に凝縮するなぞ無理な話。
このショーを見て、藤本美貴の歌を感じて、浮かんだ気持ちを率直に伝えよう。
まずは楽しい時間を過ごした感謝の気持ちを…思考の最中にカーテンが開き、とうとう今日最後の客である僕が中に入る。


一歩中に入るとスタッフだらけ。それがものすごい威圧感に感じ、視界が狭まりました。すぐに黒い枠線の中に立つように促されます。そこへ移動する短い間に、やっとスタッフの後ろに隠されている藤本さんを発見しました。しかし、彼女と目は合わせられませんでした。スタッフが目を光らせている感じがして臆した。


枠内に立つとやっと藤本さんが横に来て「よろしくお願いします」と挨拶。僕も「お願いしまーす」と返した気がしますが、よく覚えてません・・・。


横に立った彼女は小さかった。小さい小さいと聞いてはいましたが、あんなに小さいとは。普通の女の子の標準より少し下かもしれません。僕もかなり身長は低い方なんですが、思わず撮影の時に膝を曲げてしまいました(笑)


撮影ではポーズは取りませんでした。そういうの苦手で。彼女への要求も結局しなかった、というか出来なかった。腕組みして立ってもらってもよかったんですけどね(笑)僕はただただ棒立ち、その横で彼女はダブルピースしてました。


彼女が横にいる時、横を見たかったんですが見れませんでした。1つはやはりスタッフの威圧感。始終警戒されている気がして、余計な行動をする気が起きなかったですね。
あとは、好きな女の子をまともに見れない小学生のような気持ちが邪魔した(笑)恥ずかしくてなかなか彼女の姿を見れません。


撮影が終わって、すっかり萎縮してしまった僕は次どうしたらいいかわからなくなる。藤本さんのほうを向くわけでもなく撮影されたままの格好で立っていました。
その時、藤本さんが「ありがとうございました!」と言って自ら手を差し出してくれる。それにハッ!としつつ、ちょっと感動しながら僕も手を差し出しました。「あっ、ありがとうございました」って返した気がするけど、これまた覚えてません・・・。


普通は両手でニギニギするのかもしれませんが、僕は片手でのみ。紳士ですから。藤本さんは両手で握手してくれたような記憶があります。
彼女の手は小さくてすべすべしてた(笑)女の子の手でした。


真正面で見る、藤本美貴さん。
顔も身体も小さくて、普通の21歳の女の子。どこからあんな声が出るんだろう!メイクが舞台メイクでチョッピリ濃かったけれど、マジマジと見てしまいました。


言わなきゃ!言いたいことを伝えるのを忘れそうになってました。その時にはもうスタッフの方が割って入っていたような気がしましたが、それもよく思い出せません。時間にしたら数秒(たぶん3〜5秒くらい)しか経ってないと思うんですが、なんだかもう「スタッフを挟んで手をつないでいる藤本さんと僕」という奇妙な画が出来ていました(笑)


伝えたかった気持ち。思いのほか、声が出ない、声が小さい。
それでも。やっと、僕が搾り出した言葉。
「歌声、すっごい好きです」


握手しても喋らない人だと思っていたのか、彼女は「あ。ありがとうございます!」とちょっと意外な風でした(笑)


僕はこれを伝えたかったんです。「藤本美貴」の「歌声」。唯一無二のその歌声が、大好きだということをね。他にもっと気のきいた言葉があった気がしますが、これでいい。これが精一杯。彼女の歌を聴いて、感じたすべて。


写真を受け取って、爽快な気分で店を出る。
唯一の後悔は、店の扉を出るまで1回も彼女の方を振り返らなかったこと。
これは大失敗!!!!!!!!その時の自分に小一時間説教したい(笑)



外に出ると、激しい雨が降っていました。
雨のにおい。
気持ちだけはとても晴れやかに、傘を買って帰りました。


当然、彼女が歌っていた『雨』を思い出しながら。

藤本美貴の「歌」

このディナーショーで感じたこと。
それは「歌」に尽きます。
うまく説明するのは非常に難しいのですが・・・。


僕たちファンはコンサートを見ている時、けっこうバックストーリーというものを重ねて歌を聴きます。「○○は歌が本当に上手くなったなぁ」「あの△△って曲をここで聴けるとは!」とか思うじゃないですか。歌の中身よりそのメンバーの成長度合や楽曲にまつわる事情の方にちょっと意識が偏って聴いてしまう時すらある。


それって別に悪い聴き方じゃないし、自由だと思うんです。もともとハローって「物語性」のようなものを楽しむ要素が多いし、良い部分でもある。
でもそれに引きずられ過ぎてしまったら、いったい彼女たちの表現はどこへ行ってしまうのか。僕はたまに、そんな不安に駆られる時があるんですね。


今回、間近で藤本美貴という人の歌を聴く機会を頂いて、そういう不安とは無縁の時間を過ごすことができました。けっこう自分の中では驚くべき体験でした。


彼女ってある意味特殊な経歴を持っています。最初1年くらいソロでやっていて、そのあとモーニング娘。に加入するという逆輸入みたいな経歴(笑)彼女のコンサートツアーは1回きりで、それ以後今に至るまで無いわけです。


彼女のソロコンサートに行った人たちにとっても、行く機会を逃して悔しい思いをしてる人たちにとっても彼女の歌をソロで、ライブで聴くということは悲願だと思います。
今までの彼女。これからの彼女。藤本美貴という人。ずっと聴きたかったという感慨が湧いてこないはずはない。自分もそうなると思ってました、実際に歌声を聴くその時までは。


しかし、僕はいつしか歌を見ていました。
その時間は僕の前から一切の情報が霞んで消え失せ、歌だけを見ていました。歌声は有象無象を軽く越えました。彼女が奏でる歌だけを聴いていました。「藤本美貴」によって表現された歌の世界に入り込んでいました。そこには藤本美貴の歌とそれを聴く僕だけがいた。


歌声、顔の表情、表現される詞の世界。
不思議な感覚でした。本当にその人が歌う歌を堪能できる。純粋に歌を楽しめる。そんな感覚。他には何もない。ただ、歌だけが全て。
これが「音」「楽」ってやつかもね・・・そう思ったりしました。


で、やっぱりそういう歌を聴かせてくれた人っていうのは、ショーが終わっても魅力的なんですよ。「彼女はいい歌を届ける」という確信がある限り、彼女は僕の中で魅力的であり続ける。


また聴きたいと思うし、もっと聴きたいと思う。
その純粋でシンプルな思いが、発信者である彼女と受信者である僕らの間を結ぶ固い信頼関係となっているような気がしました。


藤本美貴
彼女の歌を聴きたい。